東京コンフィデンシャル

ライター岩戸佐智夫の日記と記録です。 過去に書いた記事、旅の日、大好きな食のことなどを綴っていきます。

Saturday, March 04, 2006

ピーナッツバター

 アメリカ人が好きな食べ物の一つに、ピーナッツバターサンドウィッチというものがある。作り方だが、まず一つの食パンにピーナッツバターを塗る。そしてもう一つの食パンにイチゴか何かのジャムを塗り、ペタリと張り合わせれば、ピーナッツバターサンドウィッチの出来上がりだ。
 ピナッツバターサンドウィッチの話を聞いた時、僕は、<なんだか、駄菓子屋かコンビニあたりで得意げに売ってそうな代物じゃないか……、ガキが好みそうな代物だぜ>と思った。アメリカ人の舌なんて、ガキ並だなとも思った。まあ大体はあっているけどね。
 そもそも僕はピーナッツバターが好きじゃなかった。ピーナッツ自体は嫌いじゃない。でも市販されているピーナッツバターときたら、口の中でヌルヌルする甘いだけの妙な代物でしかないと思っていた。
 ところがそれが一変する時がやって来た。
 シカゴに住んで間もない、よく晴れたある日のことだった。僕はアパートを出て、コープへ向かった。もちろんビールを買うためだ。アメリカのコープは午後十時くらいまで開いていて、お酒も売っているのだ。そもそもコープ通い自体、嫌いじゃない。料理が好きだし、食材が揃っていて、日本では見たことがない調理道具が揃っているコープは僕にとって天国みたいなもんである。でもアメリカのコープはあんまり面白くないなと、その時はまだ思っていた。臭い魚、冷凍肉や加工された食品たち、美味くもなさそうな缶詰、極彩色の食材の数々、チープな料理道具……、最低だなと思っていた。
 とにかく54丁目のハイドパークでローリングロックというチープなビールを買い、生のチョリソソーセージを買い込む。生のチョリソをこんがりと焼いて、ビールで流し込むのは最高なのだ。
 でレジへ向かったわけだが、途中にあるシリアルやらナッツやらの販売コーナーに妙なものがあることに気づいた。う~ん、まあミキサーとコーヒーミルの合いの子みたいなヤツだ。
 じっくり見ると、どうもピーナッツを入れてすりつぶすマシンらしい。こういうのを見つけるとすぐに試してみるタチなんで、当然試してみた。ルイジアナ産の小振りなピーナッツを入れて、下に透明のプラスチック容器を置く。でスイッチを入れると……、ウニウニと下からなんちゅうか尾籠な話だが、人間のおしりから出てくるようなものが出てきたわけである。
 ウチへ帰って一嘗めすると……、これがまあピーナッツの香り高く香ばしい代物なんである。もう病み付きになりましたね。日本へ帰国するときは前の日の夜か出発前にコープへ出かけて購入し、お土産にしたもんである。これが実に評判が良かった。まあなにしろフレッシュのピーナッツバターである評判が悪かろうはずもない。
 アメリカの喰い物が不味いというのは、まあほとんどホントの話である(最近はそれほどでもないけどね)。でもちょっとしたものが実に美味かったりするのだ。
 アメリカも案外捨てたモンじゃないんである。

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