カリブの旅4 グアドロープ
26日(水曜日)。
午前7時頃目が覚める。窓の外に、島が見えた。フランス領、グアドロープだ。
波止場越しにビルが沢山見えた。どうやらかなり大きな島のようだ。これまでの島とは様子が少し違っている。船窓から見えるのは都市……、といってもよさそうな風景だった。
大きな煙突から煙りが立ち上っていた。
フランス領だけあって、港に停まっている車にはプジョーなどフランス車が多い。
実はこの日、撮った写真は他の島に比べて少ない。街の姿も船の上から撮ったものばかりだ。
街や島がつまらなかったからではない。なにしろ僕は街が大好きなのだ。
そして島の風景も悪いものではなかった。
写真が少ないのは、この日、プレスのツアーがあったからだ。
ほとんどの場所をバスで駆け抜けてしまったのである。
街中も走り抜けた。でもダウンタウン自体はさほど特筆すべき所は感じられない。
だが、カントリーサイドに抜けると風景は一変する。1階や2階にテラスのあるゆったりとした一戸建ての家……、アメリカの田舎町にもこういう風景はあるが雰囲気が違う。あきらかにヨーロッパの香りが漂っていた。実情は知らないが、豊かさの匂いがする。
バスの車窓にはフランスに送るのだという広大なバナナ畑とサトウキビ畑が広がる。船から見た大きな煙突から立ち上る煙はサトウキビ工場で砂糖を作っている煙だったのだ。
バスを停めて広大な農園の写真を撮りたかったが、僕の我が儘を聞いてはくれない。多分彼らには珍しくもないのだろう、ここでも停まってくれない……。
そして連れて行かれたナショナルパークはまるでボルネオのジャングルを思い出させてくれた。
豊かな熱帯性雨林の光景である。ここはやはり豊かな島なのだ。
ランチにガイドが連れて行ってくれたレストランは公園の中にあるフレンチ・クレオールの店。ここがなかなか良かった。まずチリを仕込んだ種の無い揚げ物がア ントレとして出た。そして貝殻型の容器に詰めたやはりピリッと辛いツナのグラタン。洗練とは無縁だが、なかなかに美味い。メインは鳥をココナッツで煮たものをライスにかけて 食べる料理。これもいける。日本人の口にとてもあっている。
鳥がやってきて、テラスの手すりにとまった。パンのカケラをやるとだんだん近づいてくる。まるで用心なしだ。
回りの外国人が鳥と戯れている僕を見て、
「ほらね、日本人はああやって自然のものと親しむんだよ。噂通りだね」
とか話をしている。日本人は? そうかな~。だって楽しいじゃないか。
ふと見るとハチドリが飛んでいるのに気が付いた。生まれて初めて見るハチドリだった。
僕はレンズを望遠に替えて、用心深く狙いシャッターを押した。
現像したフィルムには残念ながらハチドリは写っていなかった。
僕のカメラはレンジファインダーで一眼レフではない。レンジファインダーの望遠で小さな対象物を捉えるのは難しいのだ。
食事が終わり、最後はビーチ。イスラエルから来た者も、カナダから来た者も、イタリアから来た者も、オーストラリアから来た者も、メキシコから来た者も、そして日本からやってきた者も仕事を忘れて波と戯れる。
無邪気で親密な時間がゆったりと流れて行った。
2 Comments:
開設をお待ちしておりました。
にしても、巧いなぁ。
プロに言うのも失礼な話ですが、少なくともブログの文章じゃないですよ。勉強になります。また寄らせて頂きまっす。
ダイちゃんのブログも面白い~って言う、若い女の子の友人がいたぜ!!
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