サハラ・砂の海へ~チュニジア1
深夜、一人で酒を飲みながら時折、ガラス瓶の中に入っている赤い砂を掌に落としてみる。
砂は音も立てずまるで漂うように、掌に落ちていく。ひんやりとした感触だけが掌に訪れる。
砂漠にはセイレーンが住んでいるのだと思う。
たとえ一度だけでも、彼女の声を聞いた者は一生そこから逃れられなくなるのだ……。
トヨタ・ランドクルーザーは車体を激しく揺らしながら、ショット・エル・ガルサの荒野を疾走した。
砂漠とは日本人が想像するような砂丘だけではない。
石の砂漠もあれば、単なる荒れ野を指している場合もある。
普通の日本人がイメージする、まるで砂の海が広がっているような砂漠はデューンと言う。
チュニスに着いたのは数日前の夜だった。これでチュニジアは4回目の訪問となる。
チュニスのメインストリート、フランス門通りの近くのビジネスホテルが用意されていた。
フランス門の名前でわかるが、フランス支配時代の面影が色濃く残る通りだ。
フランス風のカフェがあり、エスカルゴなども商うチュニスの台所とも言うべき中央市場もここにある。
『チュニジアの夜』というアートブレーキーのジャズナンバーを思い出した僕は、深夜チュニスの街に足を踏み出してみた。
ソフトイスラムの国とはいえ、どこでも酒が飲めるというわけではない。さんざんバーを探したあげく、たどり着いたのがあまりにもつまらないバーだったので、ビール一本で引き上げるというありさまだった。
翌日は迷路のような旧市街を、かつてのカルタゴのそしてローマ帝国の夢の跡を、
そしてパウル・クレーの愛した街を彷徨う。
4 Comments:
う~ん、ソフトイスラムの国々はそんなに厳しくはないですよ。ただ、なんちゅうか昔の田舎の人々って感じなのですね。
マグレブ、カリブ、沖縄。
岩戸はいい所に行ってるね。
うらやましいです。
それらの地域には、私も強い関心があります。もっぱら音楽方面からですけど。
岩戸にもらった、小壜に入ったサハラの砂、まだ本棚に置いてあるよ。
「著作権という魔物」、すごくよかったです。
一度も休まずに読了しました。「沖縄 旅の雑学ノート」もおもしろかったですが、「著作権」は日本の今をルポルタージュした価値のある一冊だと思います。ときおり挟まれる岩戸の感想や主張にも、頷くことが多かったです。「インターネットと資本主義は本質的に相容れない」、「著作権は短く」、私もそう思います。また「品性」、「誇り」、「献身と放棄の美徳」、「愛と寛容」などという
言葉も出てきて、ああ、あの岩戸は変わってないな、と思ってうれしくなりました。
とにかく、この本は素晴らしい一冊だという、絶賛を届けたいとおもいます。
今後のご活躍を期待します。
では。
おおいわへ
ありがとう。
昔からの友達が誉めてくれるのは、
とてもうれしいよ。
それにあれを書くのは、
とてもつらかったんだ。
だからホントにありがとう。
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